簡単マイコン入門。低消費電力、低価格の電圧ロガー

前回に引き続いてATmega328をArduinoから取り外して動作させます。 今回は3.3 V, 8 MHzで動作させることで、 低消費電力かつ低価格のデータロガー(電圧などをSDカードに保存する)を作製します。


3.3 V, 8 Mhzで動作させる。

まずは周波数と基準電圧の設定を決めます。 Arduino UNOへのスケッチの書き込みでは 「tool→board→Arduino UNO」と設定しています。 この時には周波数と基準電圧は16 MHz, 5 Vとなっています。 今回は8 MHzと3.3 Vで動作させるため、 この設定を「tool→board→Arduino Pro 3.3 V, 8 MHz」として スケッチを書き込みます。Arduinoから取り外さずに使った場合には 100msec設定→実際は50msecのように2倍の速度で動きます。


上のように設定を変更します。簡単です。

外付け部品

前回同様に9,10番端子に水晶発振子を接続します。8 MHzです。 7(Vcc),20(AVcc)番端子には3.3 Vの電源を入力します。 今回は電源として秋月電子の 昇圧型DC-DCコンバーターを用いました。単三電池一本でも動作します。


3.3 V, 8 MHzでのATmega328の接続。
電源とSDカードを含めた回路図は下に掲載します。

動作確認

まず点滅の周期を1000 ミリ秒(1秒)として、 基準周波数が8 MHzに変更されているか、3.3 Vでの 動作が可能かを確認いたしました。


3.3 V, 8MHzでの動作確認。時間も正確に動いています。
右端に電源IC。

SDカードへのデータの書き込み

ここからは上記のシステムを用いて、 アナログ電圧の計測値を連続してSDカードへ保存するシステムを試作します。

カードの差し込み口

データを保存するためのSDカードとして、 前回と同様にマイクロSDカードを用いました。 近くの家電量販店でSDカードへの変換アダプタとセットになって 売られておりましたので、この変換アダプタに はんだ付けをしてマイクロSDカードの差し込み口として使用することにいたしました。 コネクタの作製 SDカードの端子番号に関して他のサイトで勉強させていただきました。


マイクロSDカード(SDカードへの変換コネクタとセット)


変換カードへの電極の取り付け,はんだ付け前後


差しこみやすいようにピンヘッドを曲げました。

回路

SDカードへ保存するためのシステム全体の回路図を示します。 3.3 VをATmega328とSDカードの両方に供給する、GNDを共通とする、 SDカードの端子番号を間違えない(特にブランクのB番端子)、 点が間違いやすいところでしょうか。


回路図というほど複雑なものではありませんが、、、。

プレッドボード上で組み立てた回路を示します。


プレッドボード上で配線されたSDカードへのデータロガー。
左上のはんだ付け後のSDkカード端子を差し込めば動作します。

スケッチ(プログラム)

スケッチはこちらからダウンロードできます。 このプログラムではアナログ入力端子0番(AI0)の電圧を3.3 Vを基準として読み取っています。 動作確認のため、SDカードへのアクセス時にD9番ピンをHIGHとしました。

動作確認

動作試験では電源として用いている単三電池2本の電圧が、 測定時間に伴ってどのように減っていくかを測定いたしました。


動作状況。SDカードへの入力時に赤LEDが一瞬点灯します。

実際の測定データです。ATmega328単独での消費電流は 8 MHz, 5V時に5 mA程度ですので3.3 V時には3 mA程度だと思われます。 SDカードの消費電力はわかりませんが、いずれにせよトータルで20 mA以下ではないかと 思います。電池は一本2000 mAh程度ですので 100 時間程度の連続測定が可能と予想されます。


電圧の測定例。約3時間の連続動作で
電源電圧が2.81 Vから2.77 Vへ下がりました。
プレッドボードやケーブルのセットは試作時に最適です。

戸田システムウェア

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