高速、遠距離の無線通信機の自作

WiFi機器を電子工作して、屋外100mの通信が可能な送受信機を開発しました。企業等での試験研究、競技や趣味での個別開発のご要望があれば、ご相談ページからお気軽にお寄せください。使用したデバイスはESP32です。

送信機 遠隔カメラ用のスマホスタンドを付けています。ボタンが4つ。スマホ用のモバイルバッテリーをつかってUSBから給電します。バッテリー持続時間は約30時間。

受信機 本体はカードの大きさ。単四電池2本で約4時間の連続動作。反応の速度を下げれば、動作時間は延長できます。送信機のボタン4つと受信機のLED4つが対応しています。

通信距離の計測 見通しのある公園で測定。高さ1m同士で120mまで通信可能でした。受信機の高さを下げると通信距離が減りました。逆に、受信機と送信機を高く掲げるとより遠くまで届きます。

今回使用したESP32開発ボード:わずか2000円で送信機、受信機が準備できます。良い時代になりました!

受信機、送信機の制作、基本設計

ご依頼の内容

今回はカートレースをされている方からご依頼をいただきました。ジュニアの練習用に、運転手に対して離れたところからブレーキとアクセルのタイミングを教える、というものです。ブレーキ(弱と強)、アクセル(弱と強)の4チャンネルの情報を送ります。

また、通信距離を考えて、送信機は2台あった方が良いということで、2(送信機):1(受信機)の直接の無線通信を確立します。また、反応時間が0.01秒(10ミリ秒)以下が必要とのことでした。WiFiの中継器や無線基地を仲介すると、どうしても遅延が生じます。このため、技術要件とは、「N:1の直接通信を4bitで行う」こととなります。

利用のイメージ 競技カートにピットから信号を送信します。

技術要件

反応の速度

0.01秒以下の反応速度(ボタンを押してからLEDランプの点灯まで)が必要とのことで、以下の工夫を行いました。

マイクロ秒(百万分の1秒)単位で反応速度を計測するプログラムで測定したところ、平均で0.00134秒(1.3ミリ秒)ということで、無事に課題をクリアできました。1.3ミリ秒は、時速50kmのカートが、1.8cm進む距離です。人間の反応速度(約0.1秒=100ミリ秒)と比べても十分に早いです。このため、ボタンを押して目視で確認しても、ボタン操作と同時に動いているように見えて、人間では遅れは全く認識できません。

反応速度の実測:直接通信はやはり速い(早い)です。

戸田システムウェア 製作事例