単振動の解析(空気抵抗や摩擦のある単振動)

以前に 赤外線距離センサー において単振動を測定いたしました。 今回は前半ではこの運動を数値解析し、 後半で減衰のある振り子の運動を解析的に解きます。


単振動の実際のデータを解析します。もちろん、 振幅を減らしながら減衰していく運動となります。 以下が実測値と後半で示す理論式(41)を最小二乗法により あてはめた結果です。振動の端の方では パンダの左右へのブレがあるために誤差が大きくなっていますが、 減衰の様子、振動数が変化しないことなどが 数式でうまく表現できていることがわかります。


運動の実測値と非線形のフィッティングカーブ

数式をy=C1*exp(-C5*t)*sin(2PI*C2*t + C3) + C4 として係数を求めました。 C1は振幅、C5は減衰、PIは円周率C2は周期、C3は初期の位置、 C4はセンサーから中心の位置に対応します。 最小二乗法には非線形になりますのでエクセルのソルバーを用いました。

紐の長さ(37 cm, 実測)から予想される周期は 1.22秒で、観察された周期(1.24秒,最小二乗法より)と かなり良い一致を示しています。パンダの模型の全体の 重さは101gでしたので、摩擦係数kはk=0.0056 m/sと 求められました。興味をもたれた方は、 このような条件で、以下の理論式のエクセルのシートが正しいかを 確認されると面白いと思います。


振り子の単振動(摩擦が無い場合)の解析解

高校の物理か大学1年生くらいで習う振り子の単振動を解きます。 以下に、振り子の模式図を示します。


模式図. Schematic diagram of the simple pendulum.


この減衰のない単振動を グラフにしたのが以下の図になります。 計算に用いた係数を記入してあります。


減衰のない単振動。周期(周波数)は糸の長さと 重力のみによって決まります。

振り子の単振動(摩擦や空気抵抗で減衰する場合)

減衰がある場合には扱いはかなり複雑になります。 今回は速度に比例した減衰力を受ける場合を解きます。


では、これらを2通りの条件に分けて考えてみましょう。

一方向への移動のうちに、原点で停止する振り子


ここで得られた、一度限りで振り子が運動を停止(無限に速度が小さくなる)し、 振動を伴わない解は以下の図で表されます。


一度限りで運動をやめる振り子。想像できますか?
重力が小さく、摩擦が大きい条件は実験的に作り出せます。
水中での振り子の運動を考えてください。

振動しながら振幅を狭めていく振り子

いわゆる、普通の振り子の方程式です。 振動しながら減衰していく解は以下のように得られます。


ここで得られた、減衰を伴う振動は解は以下の図で表されます。


我々が目にすることのできる、普通の振り子。
振動しながら振幅を狭めます。周期は変わりません。
時間が進むに従って振幅が減少しています。
これらの計算が出来るエクセルのシート (SimpleHarmonicTYK.xls)

を作成いたしました。高校の科学クラブなどでご活用ください。 急いで解いたのでミスがあるかもしれません。 ご指摘いただければ修正させていただきます。


公開しているエクセルシート。
赤い文字の部分を入力すれば自動にグラフが作成されます。

光学式、超音波式など色々なタイプがありますね。
今回使用した光学式。三角測量の原理です。半導体素子の微細加工が可能にしたパーツですね。
超音波式。音速340m/sは電気的な処理に比べれば非常に遅く、距離測定に使えます。
戸田システムウェア

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